「税と格差社会」林宏昭著 日本経済新聞社2012/01/08 15:29

本書は、日本における税制について格差とのかかわりからひとつひとつ検証し考察を進めている。
統計データが豊富で、新たな見方もいろいろと示してくれる。

たとえば
・平均民間給与は、97年をピークに減少を続けている。
・日本の財政支出の経済規模に対するウェイトは、アメリカに次いで低い。さらに、税負担に社会保険料負担を加えたものとなるとアメリカよりも低くOECD加盟国の中では最も低い。
・二人世帯で一人がフルタイム、もう一人が収入103万円であれば、基礎控除相当分は3倍適用される。
 一方で、どちらか一人が所得を得ている夫婦とそれぞれが納税者である夫婦では、同じ給与収入であれば前者の方が税額が多くなる。
・過去二度の消費税引き上げは、いずれも所得税減税とセットで行われた。したがって、税収に対してはフラットである。
などなど

また、今話題の給付付き税額控除についても手厳しい。マイナスの所得税すなわち現金給付を行うためには、プラスの所得税の税額を上げなければいけないとする。
同様に、子ども手当や生活保護などの現金支給は、同額の支出でより大きな給付となる保育などの公共サービスとは対極にあるとする。

以上を総合すれば、著者は現行の税制で色々と設けられている各種控除をなくし、所得税を中心とした再分配をおこなうことが、格差社会には有効という主張のように思える。

社会全体の給与水準が切り下がっている中で、所得税中心の増税については、議論が必要だが、国際的に見ても極端に少ない負担のうえにこの国の赤字は成り立っていることがよくわかる。

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