「欲望を生み出す社会」スーザン・ストラッサー著 東洋経済新報社 ― 2012/01/14 12:30
資本主義の象徴ともいうべきアメリカの大量生産大量消費社会がいかにして形作られていったのか、詳細かつ緻密に分析した大作。
驚くべきことに、19世紀末から20世紀初頭にかけて、既に現代のビジネスモデルがほぼ出来上がり、それに伴う様々な問題もほぼ出尽くしていた事実がここにある。
すなわち、
製造業が作り出した新製品たとえばクリスコというラードの代用品を綿花から開発したP&Gの販促活動。
他社と差別化するためのブランド戦略の数々。
市場セグメントを行い、製品系列を細分化する戦略。
販促のために編み出された景品戦略。
百貨店やチェーンストア、通信販売店の出現。特に、1900年頃のシアーズはすでに受注から48時間以内に商品発送が行えるシステムを構築していたという。
スタンプクーポン券の出現。
1916年のセルフサービス店の出現。
偽物食品や詐欺的医薬品への規制。
メーカーによる小売価格維持制と量販店との戦い。
などなど現代社会そのものである。
また、本書の随所に掲載されている当時の商品ラベルや広告などの数々の写真は、レトロな雰囲気を持っているとともに、現代の商品にも通じるところがあって興味深い。
ついでながら、コカコ-ラの起源が頭痛薬であり製品の作り替えの好例としてあげられていたというのは初めて知ったし、またセルフサービスのスーパーマーケットという業態は、大恐慌時代の発明といわれていたが、本書ではそれよりも早く現れているのも興味深かった。
いずれにせよ、市場はそこにあるのではなく、メーカーによって創造され大規模流通業者によって供給されるものであるという概念がここに作られ、アメリカ型資本主義社会が始まった。
そして、約100年がたち、環境問題や資源の枯渇、それに金融の暴走といった様々なきしみが至る所に現れつつある。
そろそろ、「作られた市場」とは決別するべき時が近づいていると感じる。
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