「三井大阪両替店」萬代悠著 中公新書 ― 2024/06/04 10:03
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著者は、三井文庫研究員として、江戸時代の三井大阪両替店における信用調査の実態を、明らかにしたものである。 私も、金融機関に勤務した経験があることから、非常に興味深く読ませていただいた。
驚くのは、この時代から聞き取りなど多面的な角度から親油調査を行い、担保評価も現代とそう変わらない形で担保掛目を行い評価をしていたことである。
また、三井が、住友の前身である泉屋にも融資をしていたことも興味深い。
それにしても、三井文庫に所蔵されていた一次資料から、当時の貸付先の業種、貸付先の大阪における分布、貸付成約件数、貸し付けに至らなかった理由など非常に緻密に分析した著者の苦労に敬意を表したい。
なお、著者は当時と現代の融資の大きな違いとして、人柄を融資の判断に使っている比重が高いことを挙げているが、今も、数字だけによらず経営者との面談や所支払い状況など定性面も重視して融資判断を行っていることを申し上げたい。
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