「地球に残された時間」レスター・ブラウン著 ダイヤモンド社 ― 2012/04/21 16:05
文明の持続可能性について多くの警鐘を鳴らし続けてきた著者による最後の処方箋とも言うべき本。
表題(原題はWorld on the edge)にその思いが強く表れており、世界はもはや崖っぷちに立たされているとして、大きな懸念を表明している。
前半では、帯水層までも消費しつくすことによる水資源の枯渇、過放牧による土壌の侵食と砂漠化、地球温暖化に伴う穀物収穫の減少、環境難民の出現、破綻国家の台頭などいま進行しつつある多くの問題を指摘する。
そして、後半ではこれら持続不可能な資源の過消費によって破滅への道を突き進む現代社会へのプランBである処方箋を提示する。
その中でも印象深いのは、日本が多く登場するところである。
家電製品の省エネ技術を推し進める日本のトップランナー方式。都市間移動を超高速鉄道で多くの人々を正確に運ぶ新幹線。プラグインハイブリッド車や電気自動車の開発。LED電球、コメの単位あたり収穫量の極大化、そして古くから地熱発電を開発してきた国。
などなど、著者によれば、日本はプランBに最も近い国という位置づけになりそうである。
最後に著者が紹介するエクソン社の副社長の言葉が印象深い。
「社会主義は崩壊した。市場に経済の真実を語らせないためだ。資本主義は崩壊するかもしれない。市場に生態系の真実を語らせないためだ。」
そして著者は言う。
「エンロンは費用を簿外処理する巧妙なやり方を編み出していた。私たちは今、まさに同じ事をしている。ただし、地球全体でそうしているのだ。」
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