「収奪の星」ポール・コリアー著 みすず書房2012/05/20 09:47

世界の貧困問題に真正面から取り組むポール・コリアーの著作。
今回は、貧困問題だけではなくエネルギー問題、地球温暖化、農業、漁業など多岐にわたる持論を展開している。

資源のあるアフリカがなぜ貧しいのか、どうすれば貧困から抜け出すことができるのか。自然資産が外国資本と一部の政府高官によって略奪されているとし、この答えの一つとして、国内投資のリターンの貯蓄を薦める。その上で、賢く自国に投資することを学べとする。
また、魚や森林など再生可能な自然資産については、共有地の悲劇が起こらないように、私有を進めることを提案。公海上の漁業については、国連が管理することを提言している。
さらに、低炭素社会への道筋のためには、世界中のすべての国に排出量に対して一定の負担をさせるというものである。

それにしても、著者が指摘するとおりここ最近の世界は、ドーハラウンドの失敗、地球温暖化ガスの排出規制、世界金融危機への対応などうまく行かない場面が目立っているという著者の指摘は重い。
そして本書を通じて一貫しているのは、我々の子孫に莫大な負債を残してはいけないという考えである。