「大予測次に来るキーテクノロジー」城田真琴著 日本経済新聞出版社2018/05/13 07:43

★★☆☆☆

最新の技術動向を紹介し、そのメリットデメリットも考察しながら近未来を展望する本。よく耳にするテーマが多いが、本書の魅力はアメリカを中心とした具体例が豊富に紹介されている点にある。

では、興味を惹かれたところをいくつかあげる。
「第1章人工知能はホワイトカラー業務をこなせるか」 において、米国の裁判所や刑務所で活用されているコンパスと呼ばれるソフトウェアは、被告人が将来再び犯罪に走る可能性を数値化して提示するものであるが、その後の追跡調査において人種による誤検知率が高いことが判明。AIにはブラックボックス化という問題が付きまとうと警告する。

また、「第2章自動運転で激変する自動車業界の未来」では、すでにテスラでは、ソフトウェアの無線アップデートによって部分的な自動運転を可能にすることが行われており、将来的に完全自動運転化も、同様にソフトウェアの更新によって行われるようになる可能性があるという。
一方で、自動運転技術が進化すればするほど、運転手はそれに依存してしまい、悲惨な事故を招く恐れがあると警告している。

さらに、第3章音声操作はインターフェースの覇権を握るか」では、ユーザーのプリバシーに対して懸念の声もあり、実際に犯罪捜査に活用された事例を挙げている。

また、近未来的な技術として、飲み込めるセンサーで服薬管理を行うデジタルメディスンなども紹介されている。

少し前まではSFに過ぎなかったようなものまで、現実化されてきていることに驚きを覚える。
このような近未来の話になると、日本の姿がほとんど見えてこないのは寂しい。