「バイオパンク」マーカス・ウォールセン著 NHK出版2012/03/25 22:02

本書は、丁度パーソナルコンピューターをガレージで創り上げていったアップルやマイクロソフトのように、若い科学者たちが中古の機械を使ったり自らDIYにより分析機械を作成しながら、DNAの解析や操作といった最先端の生命工学を駆使している姿を描いた本である。

自宅のクローゼットで遺伝疾患の検査法を開発した若い科学者、DNA断片を複製する機械を制作する機械を手作りした若者。遺伝子組換え技術を使って中国産粉ミルクにメラミンが混入していないかを検査する乳酸菌を開発した女性、シリコンバレーでがんワクチンを開発する若者たち。
などが登場する。

もちろん、DNA操作によるリスクにも触れている。
たとえば、バイオテロや新種の生物が地球環境を侵す懸念もあるとし、十分な予防措置が必要であるとも警告している。

しかし著者が、彼らを「バイオパンク」と名付けているとおり、遺伝子工学の研究開発の高い壁を打ち破る彼らの動きには注目したい。

すでに世界は、オープンソースのDNAコードという情報を使って、生命工学を大企業から、われわれに身近なものとなりつつあることを示してくれた。
ここまで世界は進んでいるのだという事実に、新鮮な驚きを覚えた。

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