「コネクトーム」セバスチャン・スン著 草思社2016/03/13 20:52

脳の仕組みは神経回路のネットワークにあることを明らかにする、最先端の脳科学について学ぶことができる本。

本書ではそのネットワークを「コネクトーム」と呼び、「遺伝子があなたの全てではない。あなたはあなたのコネクトームなのだ。」という新たな知見を提示する。
つまり、脳の神経回路〜コネクトームは、ニューロン同士のお互いのつながりを強めたり弱めたりすることで接続の重みを調節(再荷重)し、お互いの接続を変え(再接続)、枝を伸ばしたり引っ込めたりし(再配線)、すでに存在するニューロンが除去されたり新たにニューロンが作られたりする作り変え(再生)などによって脳(個性、知能など)が形作られていくというものである。

本書では、このコネクトームの構造を解析しようとする試みについて多くを割いている。
その可能性も大きい。
精神障害への治療法や脳のコネクトームからコンピュータシミュレーションするというとんでもない構想までも紹介され、さらには生命の起源までも探求することにつながるという。
この途方もない可能性を秘めた「コネクトーム」研究には期待したい。

加えて、改めて、学習や経験こそが脳の働きを高めていることが本書を通じてよくわかる。
幾つになっても、人間は成長することができるのである。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://takokakuta.asablo.jp/blog/2016/03/13/8048310/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。