「アメリカ暴力の世紀」ジョン・W・ダワー著 岩波書店 ― 2018/03/19 05:41
★★☆☆☆
本書は75年前にヘンリー・ルースが述べた「アメリカの世紀」という言葉をもじり、この75年間を振り返り、アメリカの行ってきた軍事的暴力を明らかにしたものである。
すなわち、アメリカは絶対的な覇権を持つことは決してなかったというのが著者の一貫した立場である。
特に冷戦期以降、朝鮮戦争、ベトナム戦争、そしてアフガニスタン、イラクでの戦争に見られるように、失敗の連続であるとする。
なかでも「テロとの戦争」では、既存の戦略理論が全く歯が立たないということが明確となった。
著者はいう。
「1945年から今までに起きたあらゆる破壊行為と殺戮行為を目にしていたならばアメリカが世界の最後のかつ最良の希望の国であるというルースの信念は揺らいでいたであろう。」
さらに本書の日本語版への序文に注目したい。
「ルースがここで明言した理想は、…日本占領の最初の数年間にアメリカ人征服者によって日本に導入された一連の改革的な平和と民主主義政策にも影響を与えた。こうした改革の中に、今日まで一度も改正されずに維持されてきた日本国憲法が含まれる。」
この一文に今の日本の立ち位置が凝縮されている。
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