「ドル覇権の崩壊」副島隆彦著(徳間書店)2008/05/25 20:48

石油価格の高騰が続いている。200ドルもあるなどという声が聞こえてくる。
 石油文明ともいえる現代、このままではとんでもない事態になっていくことは確実であるが、我が国はどこか危機感が感じられない。

 本書は、昨年7月に出版された本であるが、今読んでもまったく違和感ないどころか、著者の言うとおりの動きになっていることに、空恐ろしさを感じる。
 著者の視点はこうである。
 かつて、ドルは金による裏づけのあるものであった。それが、ニクソンショックをきっかけとして、事実上破産した。それは、ドルと石油の結びつきである。全世界のすべての石油はドルで決済するというルール作りがなされたのである。これをドル・石油体制という。この後、アメリカのドルは印刷機を使って際限なくばら撒かれていくことになる。今起こっているのは、世界中に散らばったドルの価格インフレである。これから起こることは、ドルベースでの金価格の上昇と円高である。(事実上のドルの破綻)

 ドルの崩壊は間違いなくやってくる。
 我々は国内問題ばかりに安閑としている暇はない。