「ルポ 若者ホームレス」飯島裕子 ちくま新書2011/02/10 02:56

ネットカフェ難民に見られるような最近増加しているという20代から30代の「若者ホームレス」を、聞き取り調査を主体に足で歩いて、その実像に迫ったもの。 多くの取材から浮かび上がる若者ホームレスの実像は、過酷であり悲惨である。

なぜ家族の元へ帰ることができないのか。 意外にも彼らの多くは、一旦企業への就業体験がある。そういう彼らを、ホームレス状態にしたのはなぜか。 貧弱ながらも、生活保護や自立支援センターなどのセーフティネットが、なぜ機能していないのか。

数少ない救いの手を差し伸べているのは、善意によって運営されているNPOである。

正規・非正規の雇用問題、多くの貧困ビジネスへの対処、政府による手厚い自立支援プログラムとセーフティネットの整備など解決すべき様々な課題が突き付けられている。 また、日本の社会や家族の脆弱化がここに大きな影を落としている。 何より、先進国を自称するこの国が、多くのこのような若者を生み出し、かつ彼らを救う手段をほとんど持っていないことに、憤りを感じる。