「地震と社会(下)」外岡英俊著 みすず書房2011/05/04 17:09

本書を著した著者の意図は、明確である。 すなわち、災害を情緒的に捉えるのではなく、そこにある様々な問題点を浮彫りにし、今後につなげようという意思である。

およそその試みは成功している。 それは、著者の記者として鍛えあげられた取材力と、古今東西の数々の優れた文献を調べあげて、今後の大災害に立ち向かうための数々の提案力に圧倒される。

そして、本書で紹介される寺田寅彦の言葉にそれは集約されている。 「文明が進めば進むほど天然の災害がその激烈の度合いを増す」ということに尽きる。

ただ、阪神大震災を機に記されて指摘された多くの問題点は、残念ながら今回の大災害でも教訓として生かされたとは言い難い。 今一度、この記録をひもといてみると、今回の大震災への政府の対応の問題点がよく見えてくる。

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