「なぜ日本経済はうまくいかないのか」原田泰著 新潮社 ― 2011/09/04 05:23
2006年から最近までの主に東洋経済に掲載したエッセイを再構成したもの。
経済学者らしく、通説とは少し異なる議論を展開して、読者に必ずしもものの見方は一つではないという気付きを与えてくれる。
ユニークなものとしては、
民主党のいわゆるバラマキ3K批判に対して、もともと政府はバラマキを行うのが仕事。公共事業や土地改良事業などに比べれば、特定の利益団体へのバラマキではなく、広く薄く配ることになるのでむしろベターな政策だとする。
また、子供手当を批判するなら今の年金制度も、事実上負担よりも給付がはるかに多いのであるから「老人手当」と呼ぶべきであるとしている。
そして、制度を変えなければ2050年までに消費税は60%にもなってしまうと危惧する。
そして、現在のデフレ脱却のためには財政政策だけではなく金融政策も重要とし、日銀による国際の買い上げも提言している。
一方、民主主義に関する考察は西欧の歴史も踏まえて深いものになっているし、「幸福追及の原理」とは金持ちになる権利と解釈しているところも経済学者らしい。
ただし、都市計画のあたりになるとルコルビジエの西欧礼賛といった印象があり、ついていけないところがある。
全体に、独特の論を展開しており、ものの見方は一つではないと教えてくれる本ではあるが、皮肉を込めて言えば典型的な経済学者の本でもある。
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