「すべてはどのように終わるのか」クリス・インピー著 早川書房 ― 2011/09/06 20:45
人の寿命、人類、地球上の生物、太陽、銀河、そして宇宙へと「終わり」というユニークな切り口から見た、生物学、天文学、物理学など現代科学を網羅する欲張りな解説書である。
身近な生命から抽象的なひも理論に至るまで最近の科学の成果がこれでもかと盛り込まれていて、引き込まれてしまう。
そして、この宇宙にはわれわれしか存在しないという「人間原理」は否定し、地球外生命の可能性への夢を語り、カリブ海での感動的な体験から、宇宙の終わりへの想像力を語ってくれる。
なかなかのロマンチストでもある。
新たな知識もいろいろ教えてもらった。
「タスマニア島に1キロ平方メートル以上に伸びている1本の潅木は樹齢4万3600年。」
「ガンマ線バーストは一日に1回は宇宙のどこかで発生している。」
「狩猟採集民の食事は低脂肪でカリウムが豊富、カロリーは低め、寄生虫も少なく伝染病にかかる率も低かった。」
「ニューロン自体は酸素の供給なしに1日は生き延びられるのに酸素が欠乏してから5分以上経過して酸素の供給を再開すると細胞が死んでしまう。時間を置いてから徐々に酸素を供給するのが有効。」
「ナンキョクオキアミは1匹の体重は1グラムだが全部まとめて測ると10億トンで全人類より重くなる。」
「あらゆる証拠を集めると、私たちは今6回目の大絶滅すなわち『大絶滅』の真っ只中にいる。」
「アメリカ国内ではウラン鉱からでた残滓は2億4500万トン、原子炉から出る高レベル使用済み核燃料は4万5000トン、プルトニウム処理後に出る高レベル廃棄物は3億4000万リットルに上りユッカマウンテンではこれを処理できない。」
「微生物の生物量は1個はわずか1000兆分の1グラムなのに総量の重さは1ギガトン。」
「ヒトのDNAはチンパンジーに比べて7倍早い速度で変化してきた。」
「南アフリカの金鉱地下2.73キロの地点で発見された細菌はウランの崩壊からエネルギーを得て、酸素のない摂氏60度の中で生き延びる。」
「カーボンオフセット、植林、リサイクル、地球にやさしいライフスタイルいずれも意味のない行動だ。地球温暖化はもはや手遅れ。」
「毎日およそ100トンの宇宙ごみが雨のように降り注いでいる。微小隕石は常に我々の上に落ちてきている。」
「天の川銀河の終わりを12月31日とするとビッグバンから137億年の現在は1月1日の深夜から0.2秒すぎた時点に過ぎない。」
「宇宙には膨張を加速させているダークエネルギーがある。」
「膨張する宇宙では、今から数十億年後光子が光の膨張よりも早く離れていくために昔の宇宙が見られなくなる。さらに1兆年後光子はひとつも見えなくなる。」
「はるか遠くの未来の宇宙ではほとんどの天体は冷たくなり白色矮星になる。」
これら多くの、科学的知見を挙げながら、われわれをはるか遠い未来へと誘ってくれる。
科学はとかく物事の起源を探求することを得意としており、終わりについては空想科学の領域に入り込んでしまう。 本書はあえて、現代科学で解明されている最新理論を駆使しながら、「終わり」について思い描く。
遙か遠い未来と果てしない宇宙を旅することができた。
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