「非正規大国日本の雇用と労働」伍賀一道著 新日本出版社2014/12/27 20:56

日本の非正規雇用の歴史と実態、その問題点と今後の展望までも網羅した著作。
非正規雇用が増加してきた歴史的な背景と主要国との比較を通して、日本の雇用の問題点が浮き彫りにされている。
同時に、非正規問題の裏側の正社員の労働実態についてもメスを入れている。

  本書で度々触れらているが、今日の日本の非正規雇用の拡大や正社員の過剰労働の実態は、マルクスの資本論で指摘された当時を想起させる。
加えて著者は、労働市場の規制緩和や構造改革によって雇用の弾力化が進み、労働力浪費型雇用状況にますます拍車がかかっているとして懸念している。
最終章で著者は森岡孝二の雇用の定義を引用し、「労働者の保護と権利のキー」が、順次外されてきたのが日本の非正規大国化への過程であるとする。

これらの問題への対策は、なんといっても欧米では一般的な「同一労働同一賃金」の原則である。
加えて、非正規労働者の労働運動への期待である。

確かに、教員や銀行員、公務員まで非正規労働者が増えつつある今、この国は持続可能な社会とは言えない。非正規大国から、人間の尊厳にふさわしい雇用と働き方を大切にする社会への転換を図るべきであると感じる。
本書の分析と提言には、重要な分析が数多く散りばめられている。

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