「強いAI・弱いAI」鳥海不二夫著 丸善出版2018/03/07 08:39


人工知能についてのAI研究者達との対談集。著者も含め最先端のAI研究がどのようなものであるのか、わかりやすい本に仕上がっている。

まず本書の表題である「強いAI」とは、ジョン・サールが提唱したもので、「精神が宿る」と定義されている。これをテーマに対談が進められていく。

まず興味深いのは、松原氏によれば、アルファ碁と対局したプロ棋士はそこに人格のようなものを感じるという。すでに囲碁のような特定のゲームにおいては、強いAIが宿っていると言えるというのである。

一方で、話題のディープラーニングについては、単に優れたパターン認識に過ぎず、限界があるとの見方である。

また、将棋の羽生によれば、AIの思考と人の思考の決定的な違いは、生存本能を持っていないため恐怖心の有無と核心的な表現をしている。加えて、AIにも間違いをする時があり、ここにAIと人が付き合っていく時に忘れてはならない点があると述べている。

最後の中島氏との対談の中で意識があるように見える意識があるのと同じ動作をするレベルまで賢いAIは、外から見れば区別がつかないので、強いAIとみなしても良いのではないかという議論が印象に残った。
そして、世界のトップ5企業はいずれもアメリカのIT企業であるが、資本主義の最も勝ち組である一方で小売店の減少など資本主義を破壊している。このままでは広告を出す企業も減少していき、いずれは広告収入で成り立っているグーグル自身も消滅するのではないかという中島氏の議論は興味深い。

いずれにせよ、人間と同様の意識を持った強いAIは生まれそうにはないが、限りなくそこに近づいたAIへのアプローチは今後も続いていくことになるだろうと感じた。

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