「次の震災について本当のことを話してみよう。」福和伸夫著 時事通信社2018/03/10 06:09

東日本大震災から早くも7年が経過しようとしている。テレビでは、特集番組をいくつか放送しているものの、残念ながら我々の関心は薄れつつあるといっていい。つい2年前の熊本地震でさえ、もう話題にも上ることはほとんどない。

そういう中で本書は、そんな我々に対して、日常的な備えを忘れないように警告を発している。

まず、著者の東京出張の際の慎重さには教えられる点が多い。新幹線車両は一番前や後ろには乗らない、降りる駅は品川駅、都内の移動は徒歩、ビルからの下りは階段を使う、講演の時は舞台には上がらない、居酒屋では出入り口に近いところに座る、東京出張は日帰りなど。なぜなら、地震は絶対確実に来るから。そして、次の地震は破滅的なものになるとも言う。

著者は建物の専門家でもある。こんなことも言う。
「免震構造を採用する理由は揺れを抑えて安全性を向上するだけではなくそれによって柱を細くしてコストダウンするという目的もある。」
「法律が最低限でいいよと言っている。だったら社会の意向に応じて耐震性もコストとの兼ね合いで考えればよい、というのが建築界の常識。…熊本地震の激震地では、耐震基準が改正された1981年以降の建物でも約6割が被害を受けた。理由は簡単。基準で考えているより強い揺れが来たから。」

そして、今各企業が作っているBCP計画についても手厳しい。
「ほとんどの会社が自分の会社の中で閉じている。外からの電気や、通信や、ガスや、水などが途絶えることを考えていない。もっとダメなのは、本来BCPは具合の悪いところを見つけて改善するためのものなのに、社長や株主に報告するためのきれいなものになっている。組織にとって体裁は大事だが、死命を制する防災については本音で語らなければいけない。」

そう。災害は忘れたころにやってくる。まずは、我が家の家具の転倒防止対策から始めよう。

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