「トマト缶の黒い真実」ジャン・バティスト・マレ著 太田出版2018/06/25 10:47

何とも衝撃的な本である。トマト缶の誕生から現在の中国産のトマトが世界市場を制覇するまでをたどる内容で、現地を歩いて取材した生々しいルポルタージュに説得力がある。

まずは、中国は世界最大の濃縮トマト輸出国という話である。
そのトップは、世界中の大手食品メーカーに濃縮トマトを供給している新疆ウイグル自治区にあるコフコグループ(中糧集団有限公司)で、ハインツ、ユニリーバ、ネスレ、キャンベルそしてカゴメ、デルモンテまで取引先としている。
また新疆ウイグル自治区では、幼い子供も働かされるなど過酷な労働条件で収穫され、イタリアから技術移転された機械でドラム缶入り濃縮トマトが加工生産されている。
そして現在では圧倒的な低価格で、世界各国のトマト加工工場を駆逐し、イタリアでは中国からの3倍濃縮トマトを再加工して詰めなおしイタリア産のラベルを貼りなおして再輸出するような方法が一般的になっている。この再輸出手続きにはEU関税がかからないという。

さらに、このイタリアで輸入された3倍濃縮トマトの消費期限切れドラム缶については、別の容器に移し替えたうえでアフリカに輸出されているという。

そして、この中国産濃縮トマトにはさらに衝撃的な話が出てくる。
缶の表示には、原材料トマト、塩としか表示されていないのに、実は大豆食物繊維、デンプン、デキストロース、そして着色料が添加され、増量されている現場を取材している。そしてこの増量の割合がすさまじい。なんとトマト31パーセントに対し添加物69パーセントというものまである。
極めつけは、酸化して黒く変色したトマト通称ブラックインクまで添加物によって再生しているというものである。

それにしても、グローバル化の行きつくところの最終形態がこのような形になっているとは、絶望的な気分になる。
もはや、トマト缶を口にする気にはなれない。