「人間はどこまでチンパンジーか」ジャレド・ダイヤモンド著(新潮社)2007/09/30 19:09

表題の通り、本書は生物学的に見た「ヒト」の動物の中での特性を浮き彫りにしていく意欲作であり、ヒトは第三のチンパンジーであるという。

著者の人間を見る目はどこまでも公平である。
 人類は決して特別な存在ではないし、白人が優れているわけでは決してない。
 ナチのユダヤ人大量殺戮に見られるようなジェノサイドは特別な出来事ではなく人類史にふつうに見られるものであり、人間の本能と言っていいものである。

また本書は、環境問題を考えるにあたっても多くの事例を示して、考えさせられる。イースター島の悲しい歴史、アラビアのロレンスの舞台となった西アジアの森が砂漠となった歴史などなど。

残念ながら、人類は過去の歴史にも学ばず、石油資源を食いつくし、地球温暖化にも歯止めをかけられず、このままイースター島のようになってしまうのか、というようなあきらめにも似た感覚を持った。