「繁栄-明日を切り拓くための人類10万年史」上巻 マット・リドレー著 早川書房2011/02/19 09:38

本書の主題は、人類は交易によって進化し、豊かになってきた。知識さえも。というものである。 人類の歴史をたどりながら、この証拠をいくつも提示している。

著者の視点はユニークなところがたくさんある。 フードマイレージ運動は、逆に効率を悪くするとして、真っ向から否定するし、「緑の革命」が、世界を飢饉から救ったとし、遺伝子組み換え作物もこれから最貧国を救うためには必要だとしている。

インターネットというツールを得たわれわれは、この知識の交換を通じてより新たな繁栄を手にしてゆけると自信を与えてくれる。

それにしても、これだけ多くの交易の成果を示されても、今この時代にも自由化の動きに反対する議論が耐えない。われわれは、もう一度歴史に学ぶ必要がある。

本書の原題は「The rational optimist」すなわち、理性的な楽観主義者、である。 こういう本が、地球温暖化や資源価格の高騰や食料危機といった世界を覆う悲観的な見方への対立軸として出てくることに意義を感じる。

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