「経済復興」岩田規久男著 筑摩書房 ― 2011/08/01 20:25
東日本大震災の復興財源について、復興債を発行しこれを直接税で償還しようという政府の方針が揺らいでいる。
緊急を要する時に、ひとつひとつの政策がなかなか決まらず、その度に復興が遅れていくような気がしてならない。
加えて、ここへ来ての急激な円高は、ようやく回復への足取りを始めた日本経済の足を引っ張る要因になりそうである。
本書は今回の大震災にあたり、過去の大震災とその後の復興政策を概観しつつ、著者の持論である国債の日銀引受による財源手当を提言している。
いうまでもなく日銀の国債引受は「禁じ手」とされ、これを際限なく行うとハイパーインフレを誘発すると言われている。
しかし、著者は戦前の高橋財政の時代を詳細に分析し、デフレと円高にあえぐ今の日本の経済状況に照らして、適切に管理さえすればもっとも有効な政策であると提言する。
円が76円台へ突入していく今、著者は日本経済を鋭く見つめていると感じる。
ここへ来て「歳出の削減」だとか「経済が回復してから」とか相変わらず空回りばかりしている。このままでは、再び先送りによる次の世代へのつけ回しになりそうである。
著者の議論は一見すると暴論のようにも見えるが、今は緊急自体である。
このような時には、著者の提言も議論の爼上に乗せてはどうかと感じた。
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