「激動予測」ジョージ・フリードマン 早川書房 ― 2011/08/07 10:08
前作「100年予測」はSFとでもいうべき内容であったが、今回は現在の世界情勢を踏まえて今後10年間に起こりうる可能性を地域別に詳細に分析したものである。
その内容は、前作と同様ユニークである。
すなわち
アメリカは、「帝国」として存在し続ける。
そのために、各地域の勢力均衡を図りどこと手を結ぶか、どのような場合に介入するかという計画が示されている。
アフガニスタンとイラクでの戦争により、結果としてアメリカはイランと和解する。
次の10年でアメリカはイスラエルから距離をおく。
長期的にイランとイスラエルの対抗勢力になるのは、トルコである。
ロシアとドイツはそれぞれ資源と技術の補完関係から接近する。
これに対しアメリカは、ポーランドを重視する。
中国は、沿岸部とその他の地域とが分裂の危機に瀕し、弱体化する。
日本は長期的には、海軍力を中心に軍事力を強化する。
中国がアフリカから天然資源を買収しているが、いずれアフリカの不安定にさらされる。
著者の分析が現在の世界情勢から見て意外感を感じるのは、長らく第二時世界大戦以降の冷戦下にあって、固定化された世界情勢に慣れすぎてしまったのかもしれない。
長い歴史の中では、国際情勢は常に流動している。
これからの10年は、著者の言うとおり激動の時代になるのは間違いない。
そして、日本は地震をきっかけとして変化を遂げ、21世紀の強大な地域大国になるという著者のメッセージは心強い。
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