「高速道路なぜ料金を払うのか」宮川公男著 東洋経済新報社2011/10/24 21:20

高速道路が政争の具にされて久しい。
特におかしくなったのは、言うまでもなく民主党のマニフェストである。

本書は、この高速道路無料化の議論へ真っ向から反論を展開し、さらに歪められてしまった民営化の過程までも詳細に追った本である。

著者の議論は至って明快でわかりやすい。
すなわち、高速道路とは郵便の速達や鉄道の特急のように速く移動するための便益を提供するものである。
その便益に対する対価として徴収するのが高速道路料金である。
したがって、その料金は建設費用が償還されてから無料化されるような性格のものではなく、まして一般道路のように無料化による慢性的な渋滞を招くような性格のものでもない。その維持補修費用も含めて永久に支払われるべきものである。
そう考えれば、その料金も今のような高額なものとはなりえない。十分引き下げが可能である。
というものである。

高速道路料金は、いまや休日1000円や無料化社会実験など身近な話題に歪小化されてしまった感があるが、迷走した民営化の議論の果てに新直轄方式や機構の設立など恐るべき後世への壮大なつけ送りの仕組みがつくられてしまったのだと愕然とする。

今、高速道路とはどうあるべきなのか、公共とは何かを改めて問い直しており深く考えさせられた。

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