「古代文明と気候大変動」ブライアン・フェイガン河出書房新社)2007/11/10 12:58

本書は過去の文明が遭遇した数々の気候変動の歴史をまとめ、地球温暖化といわれる現代社会への警鐘を著したものである。

ここでは、多くの文明が、気候変動によって崩壊していくさまが、繰り返し述べられている。
 それらの事例の中では、アメリカ西海岸のチュマシュ族の章は、今後の我々の進むべき道として示唆的である。
 すなわち、干ばつによる食料減少に見回れたとき、多くの文明はその解決策を争いにもとめたが、彼らも当初はその選択肢を選んだもののその後は武器を捨てて、今日まで残る数少ない狩猟民族となったという。

 著者が最後に触れているが、歴史上の文明は、干ばつという危機に遭遇したとき、他に移動したり、侵略するなどして対応していたが、現代ではそうはいかない。
 地球温暖化と言う危機は始まったばかりであるが、著者の答えは悲観的なものに感じる。

また、多くの文明が1000年単位でゆっくりと進化してきたものである。それに引き換え、産業革命に始まる現代の文明はわずか100年程度である。
 今、われわれが遭遇している危機も、永い人類の歴史の中で、ほんの小さな出来事に過ぎないのかもしれない。

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