「経済成長とモラル」ベンジャミン・M・フリードマン著 東洋経済新報社 ― 2011/08/23 22:15
ここ最近、GDPの規模ばかりを追い求めても社会全体の幸福感は変わらない。むしろ、ブータンに代表されるような幸福度指数のような指標を検討すべきであるという声が聞こえる。
しかしながら本書は、これらの議論には真っ向から反論する。
すなわち
経済成長は、物質面だけではなくモラル面でもプラスの効果をもたらす。
過去に比べて生活水準が向上しているという実感が、社会全体に開放性、寛容性、公正さ、デモクラシーへ向かう動きを生み出す。
というのである。
これを、著者はアメリカの歴史から解き明かしている。
そして、今のアメリカは高所得者と資産家に偏った減税をしていると批判し、より多くの国民が生産性と生活水準の向上を実感できるようにするようにすべきだと主張している。
国民の実感できる持続的な経済成長と社会的寛容さが結びついているという著者の主張は、長らく低成長にあえぐ日本と金融危機後のアメリカとヨーロッパにとって強いメッセージとなっている。
ただ、高成長を続ける新興国については、いまだ社会的寛容さが進んでいるとは思えない国もある。
われわれは、まだ答えを見つけられないようである。
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