「世界を救う処方箋」ジェフリー・サックス著 早川書房 ― 2012/07/15 13:12
世界の貧困問題の解決のために強いメッセージを発しているジェフリー・サックスの最新作。
今回は、アメリカの危機の分析とこれからの処方箋を記している。
本書はアメリカについて書かれたものであるが、そのほとんどは日本にも当てはまる。
たとえば、テレビの視聴は社会的健康に悪い。国民がより長時間テレビをみる国では社会に対する信頼度が低レベルにあるとし、アメリカが際立ってテレビの視聴時間が長いことを取り上げている。
また、コマーシャリゼーションと国内貧困率の関係では、商業志向が高い国は貧困層を置き去りにしていることが明確になっている。ここでは日本はアメリカに次いで第二位で貧困率が高い。
さらに、財政赤字のGDP比の高い国は、高度な教育、託児所、無償の医療、幼い子供のいる過程への交付金など北欧諸国にみられるようにより多くの公共財が供給されているという事実である。
日本でもしばしば聞かれる政府の「無駄遣いをなくす」という声に対しては、そもそもそれほど大きなものではないとする。
そこで著者が述べる処方箋は、困っている人を助け、社会全体を幸福にするために税金を払うこと、これが「共感の経済学」である。
また、印象的なのは、「ハイパーコマーシャリズムと手を切り、騒々しいメディアから距離をおき、今の経済状況についてもっと学ぶこと」と述べていることである。
物の豊かさと幸福度は比例しない。
新たな価値観がここにある。
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